建築とトイレ

素敵な建築(トイレ)を紹介

上越市立水族博物館 うみがたり 駐車場のトイレ

上越市立水族博物館 うみがたり

 

うみがたりは2018年5月に開業した新潟県上越市にある水族館です。
プロポーザルで最優秀賞をとった日本設計による設計です。

www.nihonsekkei.co.jp

 

 

館内ではなく駐車場にあるトイレ棟の紹介をさせていただきます!

①外観

駐車場内のトイレ アプローチ

駐車場内のトイレ 外観

 

ガラスのファサードは水族館のたてものとの共通性を感じますね。

内部が見えないようにフィルムが貼ってあるようです。

ガラスは外部からの明かりを取り入れることや、暗くなった際に行灯的な見え方をする効果があります。

ガラスの外装

 

②入口

入口は両開きの扉になっており、その正面に多目的トイレがあります。

そして左右に男女のトイレが配置されています。

車椅子の利用を考えると引き戸が望ましいのですが、常に片側の扉を開けておくことで対応をしているようです。

入口正面

 

③女子トイレ

多目的トイレを正面にして右に曲がり、そして角を左に曲がると手洗ゾーンがあります。

この形状の独立手洗器は珍しいですね。

器具はLIXIL。石鹸なし。

ライニングなし。手洗器下の箱で配管を隠しています。

 

手洗ゾーンをさらに左に曲がると大便器ゾーンです。

女子トイレは3つブースがありました。

黒っぽい木の衝立が男女トイレの間仕切りになっています。男子トイレも同じ構成で大便器が続いているため、この間仕切り位置を変更すれば男女でトイレブースの数を可変させることができると考えます。

 

扉はラワン合板のようです。

ブースエリアの壁・天井はRCで作られています。

杉板型枠の設えですが、なんとライニングも同じ仕上げになっていました。

 

トイレブース上部は男子トイレとも繋がっています。

ブレースは建物の水平力を受けているようです。

 

コアがRCで、周囲が木造ということでしょうか。

独特野溝が見られますが、なんらかの継ぎ手工法によるものと思われます。

 

床は塗り床で排水溝がついているため、水洗い清掃がしやすそうです。

 

④最後に

うみがたりはとてもコンパクトな水族館ですが、日本海を模した水槽や水中トンネル、イルカショー、鯉の餌やりなど、楽しいアクティビティが盛りだくさんです。

建物も洗練されていて綺麗なので、ぜひみなさん遊びに行ってみてください!

 

弘前れんが倉庫美術館(田根剛) レンガのトイレ

弘前れんが倉庫美術館

HP  :弘前れんが倉庫美術館 ー Hirosaki Museum of Contemporary Art
訪問:2022年4月29日 

www.google.co.jp

 

まずは建築概要からご紹介です。

建築概要

所在地 :青森県弘前市
開館  :2020年4月11日
建築主 :弘前芸術創造株式会社
設計  :田根剛
施工  :スターツCAM・大林組・南建設共同企業体
敷地面積:11,539.07㎡
建築面積:1,693.78㎡
延床面積:3,089.59㎡ 
規模  :地上2階
構造  :煉瓦造、一部鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造

www.youtube.com

 

建物プラン

トイレは1階と2階にあります。

1階トイレはコインロッカーや授乳室とまとめてゾーニングされています。

美術館フロアマップ


2階女子トイレ

マップと配置が合わないため、もしかしたら従業員用だったのかもしれません・・

サインは黒色でした。

ハンドルが特徴的でとても可愛いです。

おそらく屋根と同じシャンパンゴールドを選んでいるのだと思います。

床とライニングがモルタルで仕上げられていました。

レンガの基となる土を表現しているのでしょうか。

 

男子トイレ

こちらは引用写真になります。

壁面にレンガを使っている点にこだわりを感じますね。

小便器ライニングに仕込まれた間接照明により、レンガの壁面がふわっと浮かび上がります。

床とライニング・洗面台をレンガ色に塗装している点が珍しくて驚きました。

器具のメーカー保証がどうなるのかなど、気になります。

Yu Yamada @yuyamada_method 様より引用

案内サイン

サインは一貫して黒色です。

パッと見た時に男女がわかりづらいかもしれませんが、そもそも男が青で女が赤という決まりはないため、ニュートラルな考え方に基づいたサイン設計なのだと思います。

 

ギャラリー

明治神宮ミュージアム(隈研吾) 白いシンプルなトイレ

明治神宮は2019年にオープンした明治神宮の杜の中にある美術館です。

設計は隈研吾さんです。

建築概要 kkaa.co.jp

 

さてトイレについてご紹介です。

トイレは1階と2階の2箇所配置されています。多目的トイレは1階のみです。

全体的にお金はかかっていない印象です。

 

まずは1階女子トイレです。

白一色のシンプルな空間です。

1階女子トイレ

大便器は壁掛けではなく床置き式でタンクレスです。

L型手すりがついているので、多様な方にも使いやすようになっています。

トイレ個室

 

操作リモコンです。やぼったくないスマートなデザインですね。

衛生器具はTOTOです。

操作リモコン

 

個室内一番奥の壁の上には間接照明が仕込まれています。

 

個室内の間接照明

 

洗面の鏡は手洗い機ごとにセパレートされています。

背面に照明ありです。

洗面鏡

 

ベッセル式洗面器(カウンターに据え置くスタイルの洗面器)です。

水栓とハンドソープはオートタイプです。

洗面台

 

壁は白塗装、床は白っぽいタイルでしょうか。

床材

 

床に排水口があるので、水をじゃばじゃば流して床掃除をすることがわかります。

トイレ床 掃除口

 

ハンドドライヤーは壁埋め込みのすっきりタイプです。

コロナ配慮でこの頃は使用禁止となっていました。

ハンドドライヤー

 

多目的トイレのサインです。

車椅子、子連れ、オストメイト対応していることを示しています。

多目的トイレ サイン

 

多目的トイレは一般的なユニットトイレです。

多目的トイレ

 

2階のトイレの入り口です。

白い壁に対して青と赤の男女トイレのサインがはっきりわかりやすかったです。

ハンドルは縦長のものを選択している点が意匠面のポイントでしょうか。

2階トイレ入り口

 

2階のトイレも1階と同じ意匠です。

女子トイレは2ブースです。

2階女子トイレ

 

ダウンライトが点いていないですね。

間接照明のみの演出です。

色温度は体感3500K程度に思いました。温かみのある色ではないです。

2階女子トイレ



以上、トイレの紹介でした!

トイレの利用はトイレの設計の参考になれば幸いです。

 

 

 

軽井沢千住博美術館 (西沢立衛)  白タイルとコンクリート床のトイレ

軽井沢千住博美術館のトイレを紹介します。

美術館内部は写真撮影禁止のため、こちらのサイトにてご確認ください。

discoverjapan-web.com

 

建物アプローチ

建物内部もですが、アプロープもランドスケープが素晴らしいです。

歩いていて気持ちが良いですね。

アプローチの植栽

 

建物プラン

建物プランとトイレの配置です。

 

案内図

 

女子トイレ

トイレは白を基調とした空間になっています。

女子トイレ

洗面台は幕板で隠さない構成になっています。

基本的に壁のない建築なので、洗面台もそのコンセプトに沿っているのかもしれません。

洗面台

 

床はコンクリートでしょうか。

美術館内部の床がコンクリートなので、統一感を持たせているのかもしれません。

トイレ床

壁は白いモザイクタイルを使用しています。

トイレ壁

アプローチ部のみですが動画を紹介しておきます。

www.youtube.com

 

 

上野東照宮神符授与所/静心所のトイレ

上野東照宮静心所

上野東照宮神符授与所/静心所は上野東照宮に赴く前に、心を静かに整える場所です。

建築家の中村拓志が設計し、2022年3月にオープンしました。

風の音が心地よく、楠と向き合う空間になっています。 

www.youtube.com

 

お守りや御朱印の購入や、東照宮の入場料の支払いを行うための神符授与所を抜けると、すぐ左手にトイレがあります。

正面に男子トイレ、右奥に女子トイレの構成です。

トイレ入り口

女子トイレは洗面所を挟んで2つブースがあります。

シンプルな構成です。

神符授与所の内装で使われている木の壁と同じような意匠使いが見られます。

女子トイレ

神符授与所でチケットを購入してからこのトイレエリアに入るのですが、対応する巫女さんが2人しかいないため、大人数がこのトイレに押しかけることはないようです。

そのためこの器具数になっていると思われます。

 

以下ギャラリーです。

静心所建築

 

COEDA HOUSE / 隈研吾  木外装×白内装のトイレ

 

COEDA HOUSE

隈研吾さんが設計し2017年にオープンした、COEDA HOUSEのトイレを紹介します!

熱海にあるACAO FORESTというガーデン施設内にあるカフェの建築です。

acao.jp

 

トイレ外観

COEDA HOUSEから棟を分けた場所にトイレはあります。

木材の経年変化によりだいぶ汚れた印象・・

トイレ外観

ちなみにできた当初はこんな外観でした。

https://rough-log.com/9070より画像拝借)

完成当初のトイレ外観

外装に木材を使う際は、経年変化も視野に入れることが大切ですね。

 

トイレ内部(女性)

壁と天井は白塗装、洗面台周りも白で統一し、清潔感のある色味としています。

女子トイレ

器具はTOTOですね。

鏡の淵のサビが気になります。

洗面所周り


トイレブースも白統一で、シンプルな設えとなっています。

トイレブース・個室

床はコンクリート仕上げとしています。

屋外からの利用者に対応できるよう、土間のような空間にしようとしたのかもしれません。

経年とともにヒビが入ることや、水染みや汚れがついてしまうので、トイレでの使用は注意が必要です。

コンクリートの床

 

 

インデザインの敗北

ステンレスの可愛いピクトサインです。

脚をつけて少し壁から浮かすことで、立体的に見えるようになっています。

さて、このサインを見て気付いたことはないでしょうか?

トイレサイン

 

ピクトサインがグレー、文字もグレー

そしてグレー化した木材と馴染み、どこが男子・女子トイレかわかりづらくなっています。

(そもそもこの建物がトイレということにも気づきづらいですね。)


おそらく分かりづらいというクレームがあったのでしょう。

残念ながら入り口ハンドル箇所に後付けサインが設けられていました。

青と赤のビニールテープのようなものが貼られていました。

後付けされたサイン

 

COEDA HOUSEとの共通性

軒を支持している垂木の断面が白く塗られています。

 

COEDAHOUSEとの共通点ですね。

この垂木の断面を白く塗るったものは寺院建築でよく見られるのですが、昔、腐りや割れの出やすい部分を保護するために、木口を胡粉(ごふん)という顔料で塗っていたことが由来とされています。

COEDA HOUSEの木材